建築界のノーベル賞といわれるプリツカー賞を受賞した建築家「伊東豊雄」
費用が莫大すぎるということで仕切り直しになった新国立競技場、このコンペにおいて残念ながら僅差で敗れてしまった伊東豊雄氏ですが、彼の建築は世界からも賞賛される建築物ばかりです。
スペインバルセロナに建築したスイーツアベニューアパートホテルファサードリノベーションな美しい曲線を利用し太陽光がその隙間から内部に光をもたらし、建築物そのものが芸術作品の様です。
横浜、みなとみらい線、元町の中華街駅は未来を感じさせるような空間となっていて、日本とは思えないような駅に仕上がっています。ここでも曲線が効果的に利用されている印象があり、天井が高く広々した印象です。
同じく横浜市のシンボルタワー的な存在となっている近未来的な印象の美しすぎるビルは、夜になるとその美しい外観がぼんやりと浮かび幻想的な雰囲気を出しています。
横浜駅西口誕生30周年記念事業として作られた、西口広場の地下街、吸気塔の構造と機能を持ち、機能性を兼ね備えた最高の芸術作品となっています。
茨城県笠間市に建築された陶芸家里中氏のアトリエ兼住宅は1981年に建築されたものですが、光の取り入れ方、空間の作り方共に芸術家が暮らす家に相応しい美しさを持っていて、ここでも曲線をにくい位に小粋に利用しています。
この作品は日本建築家協会新人賞を受賞した作品となっています。
長野という自然の中ではぐくまれた伊東豊雄の芸術
生まれは日本統治時代の朝鮮ですが、2歳くらいから中学生という多感な年齢の時期、祖父、父の郷里である長野県諏訪郡下諏訪町で過ごします。
彼の作品には自然との協和や光を駆使したものが多いと感じますが、緑多き長野の街で幼少から中学までをすごしたという経歴にあるのかもしれません。
東京都立日比谷高等学校、東京大学工学部建築学科を卒業しまさに建築系ではエリートの道を歩いてきた彼は、菊竹清順設計事務所に勤務し1971年に独立します。
個人住宅では有名な自邸、シルバーハットなどが脚光を浴び、物だけではなく生活空間まで消費する若き現代女性を都市の遊牧民というテーマにして、東京遊牧少女の包(パオ)というプロジェクトを行うなど、都市を批評するという活動も行っています。
横浜駅に作られた風の塔は無数に穴をあけた金属板のパンチメタルと呼ばれるものと、多数の照明によって構成され、夜になると周囲の気象情報に合わせ美しくカラフルなカラーが浮かぶようにプログラムされています。
金属板という無機質な物体と自然の環境を利用した融合作品として、この横浜のシンボルタワー兼地下街換気塔は世界からも注目される作品となっています。
建築物であっても周囲の景色を邪魔せず、しかし圧倒的な存在感を持っている伊東豊雄氏の作品は、これからも多くの人に感動を与えるものとなるでしょうし、まだまだ新しい技法を編み出して私達にみせてくれるのではないかと思います。