ポストモダニズム気質を残す近代思想を継承する建築家「青木淳」
ポストモダニズムというのは、芸術や文化など分野の中で、近代主義の行き詰まりを打開しようと動くことをさします。
装飾の比重が高くなり過去の様式を自由に取り入れていくという特徴を持っています。
その思想を受け継ぐ建築家として、彼は「白く塗れ」という事を提唱し、非常に個性的な建築物を作る事でも知られています。
ふと目につく建築物、でも周囲の風景に溶け込む優しさも持っている、そんな作品を彼は手掛けているのです。
彼の代表作のひとつ、青森県立美術館は国際建築設計競技のコンペに参加し、青木淳氏の作品が選ばれたもので、地下2階、地上2階、まるで遺跡の発掘現場を彷彿とさせるような大きなトレンチと呼ばれる溝があります。
その溝に凸凹の白い構造体をかぶせるという斬新な設計で、三内丸山遺跡と一体化しているデザインでこの建築物は高く評価されています。
上と下を向いている凸凹の間にできる隙間、ここを土の展示室としており、その他は屋外展示室、創作ヤードとなっており、美術館全体を効果的に利用できる造りとなっているのも特徴的な部分です。
また世界の誰もが知っている著名ブランド、ルイ・ヴィトン表参道ビル、これを手掛けたのも青木淳氏です。
彼はこのブランドのビルを多く手掛けていて、名古屋ビル、六本木ヒルズ点、ニューオーク、銀座並木道通り店なども彼が手がけています。
青木淳氏の経歴は?受賞は?
1956年神奈川県横浜市に生まれ、東京大学工学部建築学科、修士課程を卒業、磯崎新アトリエに勤務し、1991年に株式会社青木淳建築計画事務所を設立されました。
ルイ・ヴィトンの店舗等商業施設や博物化、美術館に故人宅など、とにかく彼は「面白いことならなんでもしよう」という心のとおり、面白い事を形にしてきました。
プール施設の遊水館はそれ以降に始まるプロジェクトの先駆けとなったもので、日本建築学会作品賞受賞の潟博物館、青森県立美術館、U bisなどそれぞれ個性豊かな作品づくりが話題になっています。
2004年には芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞し、2013年位は大宮前体育館、2013年には三次市民ホールきりりなどの公共建築物も手掛けています。
市民交流館と市民活動館を改修する設計については地域市民との協働となった十日町ブンシツという活動を行い、地域・コミュニティづくり/社会貢献活動という部門でグッドデザイン賞にも選ばれています。
彼の作品はどこかハッとするイメージがあり、この人にしか作る事が出来ないと思わせる建築物ばかりです。
光と建物の陰影をうまく利用した作品や、その地域の何かを感じさせるものづくり等、青木淳氏の作品は常に周囲の環境と状況を感じさせてくれる建築物となっています。