フランスの代表的な建物
フランスで建設に物議を醸しだしたエッフェル塔。
世界ではすでに「フランスの観光地」としてかなりの人気となっているエッフェル塔だが、この塔を建てるかどうかでフランスがかなり揉めたことはあまり知られていない。
エッフェル塔が建てられたのは、フランス革命から100年が経過したこと・パリ万博開催にあたって象徴的な建物がほしかったからという理由からである。
この塔の政策を手掛けたのは「ギュスターブ・エッフェル」。当時、鉄の魔術師とまで言われた天才である。このエッフェル、なんとアメリカの自由の女神を作ったことでも知られるとても有名な建築家。実は、当初このエッフェル塔は「別の業者によって、石造りの塔を作る」という構想で進められていたのだそうだ。しかし、それに反して「鉄でつくる」というこのエッフェルの案が採用された。
景観に厳しいフランス
このサイトでも何度か触れているが、フランスと言うのは景観にものすごく厳しい。
おそらく、景観に関しては世界一厳しいと言っても過言ではないと思う。その厳しさたるや、日本の京都とは比較にもならないほどである(ぶっちゃけ、京都はわりと自由な方だと思う)。そのせいで、このエッフェル塔建設には多くのパリ市民から抗議が殺到した。
パリには「ノートルダム大聖堂」という非常に美しい聖堂があるが、この聖堂より高い建物が、それも鉄でできた塔が建てられるということは衝撃だったに違いない。
特に芸術家たちはこのエッフェル塔建設に異を唱え、建設されたのちまで忌み嫌ったほどである。今ではパリの象徴的な塔として扱われているものが、ここまで嫌われているという現実にまず驚く。とある文学家は、エッフェル塔が作られてから毎日この塔のカフェに通ったが、その理由は「エッフェル塔を見なくて済む唯一の場所だから」という理由からであった。エッフェル塔嫌いが逆にエッフェル塔に行くというのも、皮肉な話だ(笑)。
そんな騒動がありつつも、エッフェル塔はパリのシンボルとして君臨し、今では街並みにもすっかりなじんでいる。絵画にも、たくさんのエッフェル塔が描かれているのをみると「パリ=エッフェル塔」は定着していると言っていいだろう。今では当たり前の様になじんでいるエッフェル塔に、こんな歴史があるということを知ると、フランスの歴史を深く学びたくなるね。いずれにせよ、石造りの建物ばかりを見かけるフランスで、鉄でできたエッフェル塔を見ることができるというのはかなり貴重であることに間違いない。