歴史的にも非常に価値がある
「弾丸トラベラー」で、マリエと藤井リナが行ったことでも知られるタージ・マハル。
確か、旅猿で岡村と東野も行っていたと記憶している。
インドにあるシンメトリーの建築物であるタージ・マハルは、ムガル帝国を治めた第5皇帝シャー・ジャハーンが、愛した王妃ムムターズ・マハルのために作った霊廟である。
ジャハーンは妻のマハルをとても愛していたが、妻は14人の子供を産んだのち36歳の若さでこの世を去ってしまう。命が消える間際、マハルがジャハーンに願ったのが「後世に残る霊廟」の存在であった。その妻の願いをかなえるためにジャハーンはタージ・マハルを建築するが、第三皇子により皇帝の地位をはく奪され、幽閉。幽閉先から見えるこのタージ・マハルを見ながら心を慰め、74歳でこの世を去っている。
このタージ・マハルは白く美しい建築物だが、実は黒大理石のものを作る予定だったという説もあるそうだ。しかし、いずれにせよタージ・マハルが歴史的に非常に貴重な建物であることは間違いない。
ところどころに残る「愛の証」
タージ・マハルを見ると、この皇帝がいかに妻を愛し、その死を悲しんだのかがよく解る。
タージ・マハルは霊廟であるために動画の撮影が禁じられているが、写真は多く公開されている。その写真を見てほしい。周囲の風景からはっきりと浮かび上がる美しい白の建造物は、この世のものとは思えない。白い大理石で作られたタージ・マハルは、それが天国の建物かのように美しい。
また、タージ・マハルには一族が眠るための部屋もないのだ。これだけの大きな霊廟とあらば、故人だけでなくその縁者も別の場所に眠るのが普通だが、このタージ・マハルに眠るのは皇帝と王妃の二人だけ。そのことを考えれば、このタージ・マハルは「だれでもない、王妃のためだけに作られた特別な霊廟」であったことがよく解る。
皇帝であったジャハーンが、大切に思いを込めて完成させたのがこのタージ・マハルなのだ。
ムガル帝国の皮肉な歴史
タージ・マハルは、ジャハーンが三番目の息子に帝位を追われ、幽閉されたことで現在の姿のまま残ることになった。ジャハーンは当初長男を皇帝にと考えていたが、自らがそうであったように兄弟たちも皇帝の座を巡って争いを続け、長男は三男に殺害されてしまう。三男はその首をジャハーンに送り付けたとも言われているとか。
厳しい時代であるとはいえ、そんな時期にジャハーンはタージ・マハルを見ることで心を慰めたそうだ。
そして今、ジャハーンは愛する妻とともに霊廟に眠っている。
その後、皇帝となった三男は乱暴な政治を続け、晩年はそのことを後悔して死んでいったといわれる。そんな三男を、タージ・マハルに眠る二人はどう見たのであろうか。