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イマーム・モスク

モスク

イマーム・モスクはイラン中部にあるイスファーン州の州都イスファーンにあるイマーム広場に隣接してあるモスクです。
イスファーンは古くから政治経済の拠点であり交通の要所でもありました。
16世紀に当時のサファヴィー朝によってイランの首都と定められたところです。

シャーの礼拝堂

イマームとは、イスラムでは統率者、指導者を意味します。
王朝時代のイランにとっては統率者は王、すなわちシャーだったのです。
モスクはとは、現在も世界各国に存在するイスラム教の礼拝堂のことです。

イマーム・モスクはシャーが日々の礼拝をするために建てられた特別な建物です。
実際イマーム・モスクには今でも観光客ばかりではなく礼拝の人たちが訪れています。

イランの真珠

イマーム広場は、500m×160mという広大な広場で周りにモスクや学校、王宮などの施設が建てられていました。
最盛期には世界中の人や富が集中しているという意味で「ここには世界の半分がある」と言われました。

現在は、その大部分はなくなっていますが王のモスクが残っています。
この王のモスクがあまりにも美しい建造物であり、しかも周囲は砂漠地帯でありなが美しい噴水が舞う池になっていることから、イマーム広場は「イランの真珠」と評されています。

イマーム・モスクの外観は正面にゲートのような形状のイーワンがあります。
このイーワンもすべて青を基調としたアラベスク模様のタイルで埋め尽くされています。
イーワンの奥に見えるドームにも見事な青いタイルが貼られています。

鍾乳洞を模した装飾

ドームは外装用のタイルを貼りめぐらした外側の構造と内装用タイルを貼った内構造の二重構造になっています。
外側の精緻なデザインに驚かされながらドーム内に入ると、その構造的な意匠とタイルの模様にふたたび度肝を抜かれることになります。

内側はドーム全体を鍾乳洞とみなして天井には幾重もの飾り構造があり、それらの飾り構造の中にも、信じられないほど精緻な模様のタイルが貼られています。
青、瑠璃、群青などの美しいグラデーションと少量の白や黄色の配色はまさにイスラム芸術の至宝と呼ぶにふさわしい世界です。

イランのモスク建築には特徴的に美しいタイルが使われています。
この地域は、石材に恵まれず建築材料は主にレンガでした。
建物を美しく装飾するために、この地ではタイル製造技術が大いに発展したのです。

他方でイスラム教は偶像崇拝を禁じているために、仏教寺院やキリスト教の教会のような彫像や画像で礼拝堂を装飾することができませんでした。
そこで発展したのが、抽象的で幾何学的なアラベスク文様です。
イマーム・モスクの美しさはタイルとアラベスク文様が見事に統合されたイスラム建築の最高傑作と言えるでしょう。